PrEP入門PrEP Q&A

国立国際医療研究センター SH外来のQ&Aを参考によくある質問に回答を作成しました。皆様の健康づくりの参考にしてください。

PrEP中にコンドームを使用する必要があるのでしょうか。

PrEPはあくまでHIVの予防方法です。コンドームは、梅毒や淋病、クラミジアなど他の性感染症のリスクを下げることがきます。PrEP中もコンドームを使用したセーファーセックスを心がけましょう。

PrEPを開始後どのくらいでHIVに対する予防効果が出てくるのでしょうか。(デイリーPrEPの場合)

肛門性交を行う人が、毎日服用するという方法で予防した場合、薬が直腸組織に到達しHIVに対して予防効果を発揮するのに、7日程度を要します。

国内でPrEPを処方してくれるクリニックや、見守り検査をしてくれる医療機関はありますか。

はいあります。国内でも対応してくれるクリニックが増えています。「見守りリンク集」でご確認ください。

インターネットで薬を購入してPrEPを始めてもいいですか。

日本ではツルバダやデシコビをHIVの予防薬として内服は、現時点では正式に認可はされていません。ただし、現在日本では個人目的に限り、医薬品の個人輸入が可能です。PrEPに使用する薬剤をインターネットで入手する場合には、1ヶ月分以内という制限があります。
海外のジェネリック薬を販売するインターネットサイトで薬を購入し、PrEPを行っている人はいますが、誤った使用方法でHIV感染した方もいます。PrEP開始前に医療機関に相談しましょう。
なお、インターネットでの購入薬剤の品質に不安がある人もいるかもしれませんが、2020年の日本エイズ学会での発表によると、海外から輸入されたPrEP薬を服薬している人たちを対象に血液中に薬剤濃度を調べた研究では、検査した全員から有効な薬剤が検出されたと報告されています。もちろん、全ての輸入薬剤にあてはまるとは言い切れません。
https://jaids.jp/pdf/2020/20202204/20202204232334.pdf (P445)
日本には、医薬品副作用被害救済制度がありますが、国内で認可された薬剤のみが対象になっています。
個人輸入については、「PrEP@TOKYO HIV予防薬 PrEPについての日本語情報サイト」をご覧ください。

PrEPを飲んで薬をかかりつけ医に伝えられません。飲み合わせや、相互作用はないでしょうか。

伝えられるようであれば、情報を伝えた方がベターですが、比較的相互作用は少ないと言われています。腎機能に課題がある場合、骨密度が低下した時には主治医に伝えた方が良い場合があります。PrEPの見守りをしている医療機関や主治医に相談しましょう。

薬を飲み忘れてしまいました。どうしたらよいのでしょうか。

飲み忘れていることに気づいたら、すぐに飲みましょう。朝飲むはずのお薬を夜になってから飲み忘れていることに気づいたら、すぐにお薬を飲んでください。翌朝はいつも通りの時間にお薬を飲んでください。

お薬を飲んだかどうかがわからなくなってしまいました。どうしたらよいでしょうか。

お薬を飲んだかどうか分からなくなってしまったら、とりあえず、お薬を飲んでください。
たまに、1日に2回お薬を飲んでしまうことがあっても問題ありません。このような状況が頻回にある場合は医師にご相談下さい。

ツルバダにはどんな副作用がありますか。

ツルバダの内服開始後、腹部膨満感や吐き気、下痢などの症状が出現することがありますが、その程度は軽いものです。症状は数週間以内に消失するでしょう。
これらの消化器症状は、食後にお薬を飲むとか、もしくは寝る前にお薬を飲むなどの工夫によって軽減することがあります。
頻度は少ないのですが、まれに腎臓の機能が低下することがあります。そのため、定期的に腎機能をチェックします。
腎機能の低下が認められた場合には、PrEPを一時中断し、腎機能の回復を待つことがあります。
ツルバダの内服開始後に骨密度の低下が起こる可能性があります。その変化はPrEP開始後数か月間に起こり、以降骨密度の低下は見られません。
また、骨折の頻度が増えることもありません。PrEPを中止すると骨密度は速やかに回復します。

持病があって薬を飲んでいます。飲み合わせが問題になることはありますか。

持病をお持ちの方で現在薬を飲んでいる方は、薬の相互作用が問題となるかどうか確認のため、PrEP開始前に医師に相談してください。

妊娠中、授乳中にPrEPを服用しても安全なのでしょうか。

これまでに実施された研究では、妊娠中にPrEPを服用しても、妊娠の経過や児の成長に問題は認められませんでした。また、PrEPの成分はごくわずかな量しか母乳に含まれず、授乳中であってもPrEPを安全に服用できます。

PrEP中にホルモン補充療法を受けることはできますか。

トランスジェンダーの方で、ホルモン剤を内服している方もPrEPを利用することは可能です。PrEPの内服によりホルモン剤の血中濃度が下がることはないと言われています。

PrEP中にお酒を飲んでもいいのでしょうか。

PrEP中にお酒を飲んでも構いません。

薬物注射を行う人もPrEPを利用できるの?

タイで実施された臨床研究によると、PrEPに使用されるツルバダという薬剤に含まれるテノホビルを内服した人は、薬物静注によるHIV感染リストを74%低下させる効果があったと言われています。ただし、PrEPはHIVしか予防できないので、他の血液を介した感染症(C型肝炎など)の予防にはなりません。従って清潔な注射器を使用するなどに注意をすることが大切です。
PrEP | HIV Basics | HIV/AIDS | CDC

PrEPを始めたらずっと飲み続けなくてはいけないのでしょうか。

パートナーとの関係やあなたの置かれている状況によってHIV感染リスクは変化します。
HIVに感染するリスクがなくなったり、他の予防方法を使い、Safer sexができるのであれば、PrEPは必要ありません。

PrEPをやめたいと思ったらどのようにしたらよいでしょうか。

PrEPをやめる時には事前に医療機関に相談してください。
デイリーPrEPを安全に中止するためには、最後のリスク行為から7日間お薬を内服した後にやめる必要があります。(海外の複数のガイドラインで差があります)
オンデマンドを実施しているゲイ/バイ男性の場合には、最後のリスク行為から二日の服薬後で中止することが求められます。
また、PrEPで使用しているお薬は、慢性B型肝炎の治療薬でもあるテノホビルというお薬が含まれた合剤です。
慢性B型肝炎の方が、PrEPを中断すると、B型肝炎が急激に悪化する可能性があります。
PrEPの内服をやめる場合には、事前に医師にご相談しましょう。
PrEPを中止しても、性行為の機会があった場合には、定期的にHIV検査を受けるようにしましょう。

現在自分で薬を購入し、PrEPを始めていますが、医療機関で検査を受けることは出来ますか。

PrEPはより健康でいるための方法ですので、体を壊すようなことがあってはなりません。医師の見守りの中で飲み始め、しっかりとしたチェックを受けることが必要です。
すでにご自身でPrEPを始めている場合は、HIV検査、性感染症チェック、副作用のチャックなどを受けられる場所を探しましょう。現状では地域差がありますが、見守りリンク集を参考にしてください。

薬剤耐性について教えて下さい。

HIVに感染している人が不十分な治療を継続することによって、その治療薬に対する抵抗性をもったウイルスが体内に出現し、治療効果が見込めない状態を薬剤耐性の獲得と言います。
HIVに感染していない人がPrEPを始めることによって、薬剤耐性を獲得することはありません。
ただし、PrEP中に感染していることに気付かずに、PrEPを続けた場合には、耐性ウイルスが出現する可能性があります。
その場合には、感染者としての治療を開始する際に、治療の選択肢が狭まる可能性があります。
PrEPを開始前だけでなく、開始した後も定期的にHIVに感染していない事を確認しながら、PrEPを継続することが重要です。

PrEPを開始した後に、HIVに感染してしまった人はどのような人ですか。

PrEP開始時にすでにHIVに感染していたにもかかわらず、感染していることに気付かずにPrEPを開始してしまったような場合や、PrEP開始後に決められた内服ができなかったり途中で内服をやめてしまった場合に、HIV感染することが起こっています。
PrEPを始める前に、しっかりとHIVに感染していない事を確認すること、PrEP開始後は内服スケジュールを守って飲むことが重要です。